Uの倉庫 -U's storage-

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[SS-10]万愚節

4月1日中に間に合いませんでしたが(すみません/汗)、エイプリルフールネタのSSをお送りしたいと思います。


原作の展開とはリンクしていない「蓮→←キョ」で、
1年後(原作時間)位だと思ってくだせえ。

ではどうぞ






風にはまだ冷たさが残るけど日差しは暖かい、そんな春の昼下がりに、私はラブミー部の部室で恋愛小説を読んでいた。
もちろん自分の趣味ではなく、今度オーディションを受ける予定の映画の原作本だ。
巷では女性の共感を集めベストセラーだという小説なのだけど、主人公A美があらゆるイケメンから次々と告白されていく展開は、私からすると非現実的すぎて目が滑る。
でも……。

「B子にはちょっと共感できるところが、あるかなぁ……」

A美の親友であるB子は、好きになってはいけない相手──A美の恋人──を好きになってしまい、悩み苦しんだ末に告白し、振られるというシーンがあった。
B子はどうして告白する気になったのだろう。
私だったらできない。
元々好きになってはいけない相手だし、告白した事がA美にばれれば今までのように親友という関係でいる事は難しくなるだろう。
そんな相手に告白なんて、みんなを傷つけるだけだ。
でもB子は勇気を出して告白した。

「あなたが、好きです」

B子の告白の言葉をそっと呟いてみた。
私には決して口にできない言葉。
そう。
今、私には好きな人がいる。
相手は、敦賀さん。
自分の思いを自覚した時はたくさん泣いて、モー子さんにも迷惑かけたけど、それももう過ぎた事。
敦賀さんには迷惑をかけるつもりはないから、その気持ちは隠して「後輩の最上キョーコ」を演じ続けていた。
敦賀さんも、いつも一緒にいる社さんも、以前と変わらず接してくれてるから、たぶんうまくできてると思う。
今のまま、敦賀さんが目をかけてくれる後輩の立場でいられればいい。
そう思うのに、時たま気持ちが溢れて口をついて出てしまいそうになる。
だからB子の言葉を借りてちょっとガス抜きをしてもいいかも知れない。
そんな事を考えながらもう一度。

「あなたが、好きです」

敦賀さんを思い浮かべながら万感の思いを込めて口に出してみた。
伝える事は決してない、行き場のない私の本当の気持ち。
口に出した事でほんのちょっとすっきりしたかも知れない。
そんな風に思っていたら。

「熱心だね。誰への告白?」

「キャ━━━━━ッ!!!!」

背後から突然声をかけられて、私は腰かけていたパイプ椅子を倒す勢いで飛び退り、声のした方とは反対の壁に背中を張り付けた。

「つ、つつつ敦賀さん!
 お、おはようございます!!」

「おはよう」

柔らかく微笑みながら挨拶を返してくれるのは、今まさに思い浮かべていたその人で。
一体いつからそこにいたのだろう?

「うん。ノックしたんだけどね。
 返事が無いからいないのかと思って勝手に入っちゃったんだ」

敦賀さんは小さくごめんねと謝りながら説明してくれた。
私は自分の顔が赤くなったり青くなったりを繰り返すのを自覚しながら、
そうですかと返すのが精一杯だった。

敦賀さんは以前からよく部室にやって来ていた。
それは、この部室は余計な人の目がないので休憩するには打ってつけという理由で、突然現れては数分から、長くて数十分滞在して行った。
それに乗じて役作りの相談などを持ちかけた事が何回もあるが、その度に優しく微笑みながら相談に乗ってくれて──……今思うとかなり図々しかったと思う。
そして最近は、ロケの多いドラマの現場が事務所の近くだという事で、その休憩時間やぽっかり空いた待ち時間に、以前にも増して部室を訪れるようになっていた。

とても嬉しいけど、
とても困る。

顔を見られるのは嬉しいんだけど、会う度に“好き”の気持ちに加速度がついて行くようで、止められないのだ。
だからといって会わないように避けようと思っても、そういう不自然な行動は却って何かを疑われそうで怖くてできなかった。

「あ、あの。今日は、社さんは?」

「ああ、主任に呼ばれているとかで俳優セクションへ行ったよ。
 何?何か用があった?」

「イイエそういう訳ではないのですが……」
(ど、どうしよう。まともに顔が見られないよ)

直前に考えていた事が事だけに、敦賀さんと一対一になるのは避けたかったのだけど、クッションになってくれそうな社さんはいないという。
私は慌てて「後輩の最上キョーコ」の仮面を被ろうとした。

「さっきの、真に迫ってたね。誰かにする予定でもあるの?」

「え?」

気持ちを整える前に話しかけられ、素のまま答えてしまう。

「あ、あの。さっきのは、その……」

ついうっかり敦賀さんの顔をまともに見てしまい、目が合う前に慌てて視線をそらすと、肩越しに壁のカレンダーが目に入った。
そうだ、今日って……。

「つ、敦賀さん、そう、敦賀さんに」

私は思い切って敦賀さんに向き直った。

「敦賀さん、好きです!」

「!?」

敦賀さんは鳩が豆鉄砲を食らったようにきょとんとしたように見えた。
やった、成功だ。

「───っていうのは、嘘です!
 今日はエイプリルフールでした!
 騙されましたか?」

私は努めて明るく、一気にまくしたてた。
そう、今日は4月1日。エイプリルフールだ。
嘘をついても許される日。
きっと敦賀さんも笑って許して下さるだろう。
でも敦賀さんの顔が見れなくて、つい視線を落として下を向くと、敦賀さんの足がすぐ近くに見えた。
え?と顔を上げると、目の前に無表情な敦賀さんの顔があった。
つまらない嘘で(私にとって敦賀さんが好きだという気持ちは嘘ではないけれど)、敦賀さんを怒らせてしまっただろうかと、サッと血の気が引いた。

「そう……。
 今のは、嘘、なんだね?」

息がかかりそうなほどの距離から敦賀さんの低い声が響き、私は必死になって頷きながら逃げ場を探したが、元々壁際にいた上に、いつの間にか左右を敦賀さんの腕にふさがれていて逃げ道はなかった。

「じゃあ、どうしてそんなに泣きそうな顔をしているの?
 嘘だって言った時のキミの顔、今にも泣き出しそうだった」

思わず両手で顔を隠してしまう。
どうしよう、やっぱり敦賀さん相手に嘘なんて通じるわけなかったのに。

「それにね、エイプリルフールに嘘をついていいのは午前中だけなんだよ?
 ……───ねえ最上さん。キミに伝えたい言葉があるんだ。
 聞いてくれる?
 だからキミもその泣きたくなる理由を、教えてくれないかな」

敦賀さんの両手がそっと私の肩に置かれてその温もりが伝わってくると、それだけでなぜだか視界がぼやけてくる。
口を開けば涙がこぼれてしまいそうで、私は馬鹿みたいにただ黙って突っ立っている事しかできなかった。
壁掛け時計の秒針の音が不意に大きく耳に入って、何かが動き出した事を告げている、そんな気がした。


[了]







やっぱり思いついてから半日ではこの位が限界でしたorz
ちょっと練りが足りませんが、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
尻切れトンボなのは私の標準仕様ですからーー!!

あ!ありがちなので、どなた様かとネタ被りしていたらすみません。
その場合はすぐ下げますのでご報告ください<(_ _)>

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